2018年 「独孤天下」
邦題からラブ史劇の類かと思い観ていなかったが、
観てみたらどハマりした。
恋愛要素は多いが、よくあるご都合主義は感じられなかった。
(偶然の出会い等はあるが、気にならない程度)
政治も恋愛も綺麗事だけではすまない。真直な心を持つ人々も時には手を血で染め、愛する者を裏切りながら新しい世を築いていく。その各人の葛藤が丁寧に描かれている。
主人公・伽羅の初登場時はまだ少女。(13・14歳と思われる)
子供なのでちょっと騒々しいが、この頃から頭の回転が良く正義感が強い。窮地に陥った時も的確に状況を捉え、助けに来た者が自分を発見しやすいようにしている。
独孤姉妹の長女・般若は第一話では悪女に見える。家族を傷つける敵には容赦なく報復し、妻子もある悪い男と知りつつ宇文護と恋に落ち、お互いの野望を語り合う。
般若は野心に満ちて皇后への階段を昇るが、その先は薄氷を踏む思いで生きる。「独孤の天下」への手段として宇文毓に嫁ぐが、やがて優しい毓を愛するようになる。しかし毓は決断力に欠ける所があり…。
ジャイアン(人のものは俺のもの)のような宇文護とのび太(何でもドラえもん任せ)のような宇文毓の二人に愛され、苛まれ、いつもギリギリの決断を迫られる般若。仲の良い妹の伽羅だけでなく、不仲の妹・曼陀も他人に虐めさせたくない般若。
自ら望んだ最高の地位にいながら、結果的に自分を犠牲にして大事な人達を守る般若は気高く、美しい。その覚悟の強さも、愛情に引きずられて泥沼に落ちる弱さも心に残る。
次女・曼陀(史実では四女らしいが、他の姉妹の記録が無いので次女として話を進める)は家族の問題を複雑化させる原因となる。
生母の身分が低い事にコンプレックスがあり、権力や財力に目がないが、姉のような大局を見据えた上での野望ではなく、考えの底が浅い。
婚約した時に結納金が妹より少ないと分かると、身分や財力のある男性への乗り換えを目論み、宇文邕や李澄を誘惑しようとする。物欲だけならまだ可愛げがあるのだが、度々妹を庇うふりをして貶めようとするのが、観ていて腹がたつ。計略は思わぬ方向に転び、曼陀は李昞に嫁ぐ事となる。後妻業をつき進むが、李昞も海千山千なので一筋縄ではいかない。
末娘・伽羅は元気で賢いが恋愛は奥手。宇文邕の恋心になかなか気づかない。それでも邕に振られると傷ついたり、李澄との縁談を嫌がり邕に会いに行く等、伽羅にも恋愛感情はあったと思われる。
しかし、邕の執念深い恋心(執念深すぎて独孤信に婿候補から除外される)に比べると、少女の淡い初恋といった感じだ。
夫となる楊堅との関係もまた、じれったい。初対面からお互い反発しながらも惹かれ合う。しかし恋愛に関しては単純バカな楊堅は曼陀にかなり長い間騙され続け、よせばいいのにすぐ誓いを立てる。「隋唐演義」でその誓いの結末を観た筆者などはため息が出る。この話はネタバレしててもハラハラできる作りになっている。
最終回に登場する楊広や李淵を観ているとまた、「隋唐演義」も再視聴したくなる。三姉妹それぞれの「独孤天下」の物語が心に残った。
長安:主舞台
隋州:楊堅が刺史に任じられた地
隴西:唐国公李昞の居住地
史実
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▶︎その頃の日本
593年 聖徳太子が摂政となる。