2022年 天下長河
黄河の治水に賭けた男たちの物語。康熙15年、留まることのない黄河の氾濫に心を痛める康熙帝は、罪臣として護送されていた靳輔の尋問を傍聴する。斬首となる筈だった靳輔。しかし、靳輔が治水を行う上での信念を知った康熙帝は彼が他の誰よりも河道総督に相応しいと確信し、靳輔が持参した治水の書の著者・陳潢を探すよう明珠大臣に命じる。
陳潢は兄弟分の高士奇、徐乾学と共に科挙に挑むが、型破りな才能は試験では評価されず、合格者は徐乾学のみだった。
その後、陳潢は康熙帝に召し出され靳輔と共に治水にあたるが、権力者に忖度せず誰にでも無遠慮に物を言い、様々な軋轢を産んでいく。
高士奇も小賢しい態度を嫌われ科挙では不合格。(面接での明珠の社交辞令がリアル。現代でもありそう。)しかしその後、索額図大臣、明珠大臣の元で頭角を現していく。
なりふり構わず科挙に賭けた徐乾学は晴れて官僚となるが鳴かず飛ばず。リサーチ力を駆使して康熙帝の心を掴む高士奇には差をつけられるが、物語終盤でその力関係も変わっていく。
若い頃に酔い潰れては夢を語り合っていた3人の義兄弟は朝廷の濁流に飲み込まれていった。
この朝廷に巣食う古狸の両巨頭、明珠と索額図も猛獣使い・康熙帝の鞭に操られる猛獣であり、狡兎死して烹らる走狗といった感もある。
そして康熙帝もまた孤独な帝王。皇后への扱いは酷いが、結局、皇帝が心許せる女性はおばあちゃん(太皇太后)だけなのかなという感じがする。汚職まみれの油断も隙も無い臣下たちに常に目を光らせ息つく暇もなさそうだが、太皇太后に予算の話をする時は、世間一般の孫がおばあちゃんにお小遣いをねだるようなお茶目な顔をしている。
女性の少ないドラマだが(若い女性は王光裕の娘と皇后くらい)靳輔の妻も気丈で美しい。于振甲の母が、処刑される危機に陥った于振甲へ、彼自身の信念を第一に考えるよう、涙をふりしぼって言う場面も心に迫る。
そんな母の愛を受け、まっすぐ過ぎるくらいまっすぐに育った于振甲。この男が融通がきかないせいで沢山の人が犠牲になるのだが、自らが招いた結果に苦しみ、時には死を望みながらも少しでも状況を良くしていこうと努力する姿は胸を打つ。
于振甲や陳潢、靳輔親子(息子の靳治豫も勇敢なよい子)のように心がきれいすぎる人々も、明珠と索額図、高士奇と徐乾学のように世俗にまみれた人々も、そんな面々をまとめて広大な国を治める康熙帝も、みんな頑張ったんだなぁ…と思うドラマでした。
北京:紫禁城の所在地。
南京:于振甲が靳輔を救った江寧は南京にある。
淮安:陳潢は康熙帝の密命を受け淮安へ調査に赴く
桃源:于振甲が知県をしていた県
史実
▶︎その頃の日本
1687年 徳川綱吉が「生類憐みの令」を制定する